「ブルグミュラー 25の練習曲」と原典スラー
【衝撃の発見!】「ブルグミュラー 25の練習曲」、原典スラー付きで甦る作曲家の意図
ピアノを学ぶ多くの人が一度は手にする「ブルグミュラー25の練習曲」。

私も小学生の時、全曲練習しました!
1オクタ-ブが届かない手でも弾くことができ、素敵な標題、はじめてのペダルにわくわくしたものです。
レガ-トやスタッカ-トなど異なるタッチを用いて曲を表現することを楽しく学べ、ショパン、シュ-マンなどの演奏につなげることができます。
現在でも、ロマン派への導入教材として、その価値は健在です。
当教室の子どもたちにも、「アラベスク」や「バラード」、「乗馬」は大人気。
大人の生徒さんは、「アヴェ・マリア」や「別れ」、「スティリエンヌ」といった、美しいメロディの曲に心惹かれる方が多いようです。
そんな馴染み深いブルグミュラーですが、数年前、衝撃的な事実を知ってしまったのです!
あなたの楽譜、本当にブルグミュラーの指示通り?
ある時、ブルグミュラー自身の運指やアーティキュレーションが記された原典スラー付きの楽譜を手にする機会がありました。
▼こちら
パラパラとめくってみると…「えっ、私が今まで弾いていたのと違う!」
特に驚いたのは、人気曲の「アラベスク」(No.2) 。
それはまるで、長年親しんだ友人の、知らなかった一面を垣間見たような感覚でした。
「アラベスク」に冒頭はなんとスタッカーティッシモ!
No.2「アラベスク」の冒頭。左手だけの和音(Am)の連打で始まりますが、なんとここに原典ではスタッカーティシモ記号(▼ 鋭く短く切る)がついています!
これは、曲全体のイメージを大きく左右する、重要な発想記号ではないでしょうか?
標題「アラベスク」が意味する「唐草模様」のふんわりしたイメージに誘われて、私はここをleggiero(軽やかに)弾くことを心がけていました。シュ-マンやドビュッシーの「アラベスク」に影響されていたのかもしれません。

子どもたちは、たいてい出だしから元気いっぱいに弾いてきますが、あながち彼らの本能的な演奏は間違いではなかった!
「アラベスク」の本来的な意味、「アラビア風の」という語源に素直に立ち戻って演奏するべきなのかもしれません。キリリと引き締まった、シャープなリズムで。
他にも、No.14「スティリエンヌ(シュタイヤ-舞曲)」では、中間部の転調部分が終わるとイントロに戻るという、構成の違いがみられます。
これも弾いてみると、とても素敵!舞曲の第二幕の始まりを、楽し気に宣言しているようです。だから、続くテーマ部分をただのリピートにしてはいけない。
フレージングスラーとアーティキュレーションスラー:作曲家のメッセージを読み解く鍵
この楽譜では、従来の楽譜に付けられていたフレ-ジングスラーと、原典版に書かれていたアーティキュレ-ションスラ-を区別して表記してあります。

演奏者は、この二つのスラー表記の違いをしっかり理解しておく必要があります。
すなわち
- フレージングスラー: フレーズのまとまりを示す。曲の流れや歌い方を示す、大きなまとまりのスラー
- アーティキュレーションスラー: 音と音のつなぎ方・切り方を示す、短いスラー
ブルグミュラーが本当に伝えたかったニュアンスは、この2つのスラーを正確に読み解くことで初めて見えてきます。
原典スラー付きのこの楽譜は、まさにそのための羅針盤となりますね。
原典スラー付きエディションで練習するメリットとは?
ブルグミュラーに限らず、原典版を知ることは演奏する上でたくさんのメリットをもたらしてくれます。
- 新鮮な発見: 長年弾き慣れた曲も、まるで新しい曲のように生き生きと響き始めます。
- 作曲家の意図に近づける: 作曲家が本当に表現したかった音楽を理解できます。
- 演奏の表現力が豊かになる: スラーの意味を考えることで、演奏に深みと説得力が生まれます。
- 何より楽しい!: 「そうだったのか!」という発見の連続は、ピアノ練習をさらに楽しいものにしてくれるはずです。
もしあなたが、これまでブルグミュラーを他の版で練習してきたのなら、ぜひ一度、原典版のスラーで練習してみてください。あなたのブルグミュラーの世界が、もっと豊かに広がること間違いなしです!
指導者・独習者の方ははこちらもおすすめです!
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「ブルグミュラー18の練習曲」へ
そして、25の練習曲でブルグミュラーの魅力に触れたあなたへ…
実はブルグミュラーには、もう一つ素晴らしい練習曲集があるのをご存知ですか?
「ブルグミュラー18の練習曲 Op.109」です
この「18の練習曲」は、「25の練習曲」よりも技術的に高度で、より豊かな表現力やテクニックを磨きたい学習者におすすめできる教材です。

私のお気に入りは「大雷雨」(No.13) 、「ゴンドラの船頭歌」(No.14)。この2曲を合わせて一曲としても良いとされています。ドラマティックな大曲を弾く準備にもなりそうですね!
「25の練習曲」を終えた方は、ぜひこの「18の練習曲」にもチャレンジしてみてください!
