1. 昔も今も大人気!「ブルグミュラー 25の練習曲」
ピアノ学習者なら誰でも一度は練習する(?)「ブルグミュラー 25の練習曲」。
私も小学生の時、全曲練習しました。1オクタ-ブが届かない手でも弾くことができ、素敵な標題、はじめてのペダルにわくわくしたものです。
レガ-トやスタッカ-トなど異なるタッチを用いて曲を表現することを楽しく学び、その後のショパン、シュ-マン演奏につながっていきました。現在でも、ロマン派への導入教材としてその価値は健在です。
私の教室では、子どもたちには「アラベスク」「バラ-ド」「乗馬」が人気。大人の方には、「アヴェ・ マリア」「別れ」「スティリエンヌ(シュタイヤ-舞曲)」などが好まれています。
多くの人がピアノに目覚めるきっかけとなる曲集なので、まだ弾いたことがない方は、(子どもさんも、大人の方も)ぜひチャレンジしてくださいね!
2. 「原典スラ-付き」で練習し直したい 「アラベスク」「スティリエンヌ(シュタイヤ-舞曲)」
もう40年以上も、ブルグミュラーの楽譜を読み込んできましたが、最近ブルグミュラ-自身の指使いやアーティキュレーションが表記されている楽譜を入手し、衝撃を受けました。
長年、私が思い込んでいたものとは、かなり違う世界があったのです!
例えば、No.2「アラベスク」の冒頭。左手だけの和音(Am)の連打で始まりますが、なんとここに原典ではスタッカーティシモ記号(▼ 鋭く短く切る)がついています!これは、曲全体のイメージを大きく左右する、重要な発想記号ではないでしょうか?
標題「アラベスク」が意味する「唐草模様」のふんわりしたイメージに誘われて、私はここをleggiero(軽やかに)弾くことを心がけていました。シュ-マンやドビュッシーの「アラベスク」に影響されていたのかもしれません。
子どもたちは、たいてい出だしから元気いっぱいに弾いてきますが、あながち彼らの本能的な演奏は間違いではなかった!
「アラベスク」の本来的な意味、「アラビア風の」という語源に素直に立ち戻って演奏するべきなのかもしれません。キリリと引き締まった、シャープなリズムで。
他にも、No.14「スティリエンヌ(シュタイヤ-舞曲)」では、中間部の転調部分が終わるとイントロに戻るという、構成の違いがみられます。
これも弾いてみると、とても素敵!舞曲の第二幕の始まりを、楽し気に宣言しているようです。だから、続くテーマ部分をただのリピートにしてはいけない。
3. しっかり意識したい 「フレ-ジングスラ-」と「アーティキュレ-ションスラ-」の違い
この楽譜では、従来の楽譜に付けられていたフレ-ジングスラーと、原典版に書かれていたアーティキュレ-ションスラ-を区別して表記してあります。
フレ-ジングスラーとは、フレーズのまとまりを示すもの。アーティキュレ-ションスラーは、なめらかにつなげて奏する意。
この二つのスラー表記の違いをしっかり理解しておく必要があります。また、昔ブルグミュラーを別の版で勉強された方も、ぜひこの原典スラ-付きエディションで練習し直してみてはいかがでしょうか?
きっと新鮮で楽しい発見がありますよ!
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